← 記事一覧へ
『根をもつこと、翼をもつこと』を読んで · 読書感想

小説の田口ランディのほうが好きだった――『根をもつこと、翼をもつこと』

この記事には広告を含みます。

田口ランディの小説を何冊か読んでいた。気づくと少し不思議な世界に連れていかれる、あの感じが好きだった。

だからエッセイも読んでみたくなった。小説を書く人は、普段どんなことを考えているのだろう。

手に取ったのが『根をもつこと、翼をもつこと』だった。

小説とは違い、著者本人の声がまっすぐ届く。社会問題にも踏み込み、重い話題から逃げずに自分の意見を述べる。細かな内容はもう覚えていないが、物怖じしない人だ、という印象が残った。

少し圧倒された。

反対意見だった、というわけではない。ただ、物語を追いながら、知らないうちに何かを感じる読み方とはずいぶん違う。

結局、僕は小説のほうが好きだったのだと思う。

考えを直接聞くより、登場人物の姿を追いかけて、こちらが勝手にあれこれ考える時間が好きなのだ。作者の主張が見えることと、その人が書いた物語に惹かれることは、必ずしも同じではないらしい。

エッセイを読んでよかったかと聞かれたら、読んでよかったと答える。小説の向こうにいる人の別の顔を見られたから。

ただ、次にまた田口ランディを読みたくなったら、たぶん小説を選ぶ。

この記事で扱った本